令和7年度税制改正のポイント 子育てを支援する税制
子育て世帯の経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境を整えることを目的として、令和7年度税制改正において、子育て世帯等を対象として、①住宅ローン控除の拡充の延長 ②住宅リフォーム税制の拡充の延長3生命保険料控除の拡充が行われます。
※本稿は、「令和7年度税制改正の大綱」(令和6年12月27日閣議決定)に基づいています。
1.子育て世帯等に対する「住宅ローン控除の拡充」の延長
住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の「0.7%」を、新築住宅は13年、中古住宅は10年にわたり所得税から控除できる制度です。令和7年度税制改正において、令和6年限りとされていた子育て世帯等に対する住宅ローン控除の借入限度額の上乗せ措置および床面積要件の緩和措置が、令和7年に限り引き続き適用できるようになりました。
対象となる「子育て世帯等」とは?
以下のいずれかをいいます。
● 19歳未満の子を有する人
● 夫婦のいずれかが40歳未満の夫婦
「借入限度額の上乗せ措置」とは?
子育て世帯等に対する住宅ローン控除の借入限度額の上乗せ措置は、子育て世帯や若年夫婦世帯が住宅を取得しやすくするための支援策です。子育て世帯等が新築買取再販※1で「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH※2水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」を購入する場合、住宅ローン控除の借入限度額が上乗せされています(図表1)。
※1不動産業者が中古住宅を買い取り、リフォームやリノベーションを施した上で再販売する仕組み。
※2「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略。「省エネ」「創エネ」に優れ、年間のエネルギー収支が概ねゼロ以下となる住宅のこと。
「床面積要件の緩和措置」とは?
新築住宅の床面積要件が「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されています。ただし、以下の点に注意が必要です。
● 合計所得金額1,000万円以下であること
● 新築住宅の建築確認が令和7年12月31日以前に行われていること
2.子育て世帯等に対する 「住宅リフォーム税制の拡充」の延長
子育て世帯等が現在所有・居住しているマイホームに一定の子育て対応改修工事(リフォーム)を行った場合に、標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額等を所得税から控除できる制度です。令和7年度税制改正において、令和7年に限り引き続き適用することが可能になりました。
「一定の子育て対応改修工事」とは?
子どもの安全や生活の利便性を向上させるために行う特定の改修工事をいい、主に、以下のような工事が該当します。
■ 子どもの事故を防止するための工事
● 壁や柱の出隅を丸くする工事
● 床材を滑りにくいものに取り替える工事
● 転倒防止のための手すりを設置する工事
● 指等の挟み込みを防止する機能のついた戸に取り替える工事
● チャイルドフェンス設置工事
● 感電防止のためのシャッターつきコンセントへ取り替える工事
■ 対面式キッチンへの交換工事
■ 開口部の防犯性を高める工事
● 防犯性能のある玄関ドアへの交換
● 割れにくい窓への交換 など
適用を受けるための主な要件は?
主な要件は以下の通りです。
● 「子育て世帯等」(19歳未満の子を有する人、またはいずれかが40歳未満の夫婦)である
● 子育て対応改修工事を行う人が所有し、居住している家屋である
● 合計所得金額2,000万円以下である
● 標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額が50万円を超えている
● 令和7年12月31日までに改修工事が終了し、入居している
● 改修後の住宅の床面積が50㎡以上であるなど など
3.子育て世帯に対する「生命保険料控除の拡充」
令和8年分の措置として、子育て世帯(年齢23歳未満の扶養親族がいる世帯)を対象に、所得税の生命保険料控除において、以下の見直しが行われます。
① 新生命保険料(平成24年1月1日以後に締結した契約)に係る一般生命保険料の控除額の計算方法
を見直し(控除額の計算は図表2)
② 旧生命保険料(平成23年12月31日までに締結した契約)および上記①の適用がある新生命保険料
を支払った場合の一般生命保険料控除の適用限度額を最高6万円(現行:最高4万円)に引き上げ
なお、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の各控除の合計適用限度額(12万円)については変更ありません。